高血圧
生活習慣病、健康診断でまず指摘を受ける疾患が高血圧です。
家族や友人の中に、高血圧の薬を飲んでいるという方がいるではないでしょうか。
健診で、「ついに引っかかったぁ」と思う方もいるかもしれません。
会社から、「病院に行ってこい!」と言われて、渋々受診する方もいるでしょう。
しかし、多くの人は「特に何も症状ないしなぁ」「高血圧の薬飲み始めたら一生飲まないといけないんじゃないの?」
などと考え、なかなか受診しようとはしないのではないでしょうか。
実は、そうなんです!高血圧だけだと、症状はほとんどないのです。じゃあ、なぜ私たちは高血圧を治療しようとするのでしょうか。
高血圧というのは、文字通り血圧が高い状態、つまり強い力で心臓から血液を送り出している状態です。
強い圧力を持った血流は、心臓や脳などの臓器、毛細血管へ流れていきます。すると、その血管に対し、負荷をかけ続ける状態になります。
負荷をかけられた血管は、負けじと硬くなり動脈硬化となっていきます。しかし、血液を全身に送り続けなければいけないので、心臓も頑張ります。
心臓は筋肉の塊なのですが、頑張り続けた結果筋肉が厚くなってしまいます。「筋肉もりもりになるのはカッコイイじゃないか!」と思ったら、心臓に関しては間違いなんです。
心臓の場合は、全身に血液を送る力が落ちてしまうのです。その結果、「心不全」という病気になってしまいます。
脳に関しては、心臓と同じように、やはり血管が固くなります。そして、多くの分岐点があり細い血管へと分岐し脳全体に送る血管にダメージを受けることになります。
すると、突然血液の流れが途絶える「脳梗塞」、血管が破れる「脳出血」などが起きてしまいます。心臓も同じように「心筋梗塞」も起きる可能性があります。
このように、「高血圧」それ自身は何も自覚症状はなく、困ったことが起きることは多くありません。しかし、その先に大きなリスクが待っているのです。
もちろん、「血圧が高くて薬を飲まなくても元気な人はいるよ」という方はいるでしょう。
しかし、100人いれば100人元気なわけではありません。医学というのは、統計的なデータを基に出来るだけ多くの人を疾患から守るためにあると考えています。
そのため、ある疾患が起きる可能性があるのであれば治療をすることで多くの人を疾患から守ることができると思います。
正常血圧(120/70mmHg未満)にくらべると、140/90以上になると、脳卒中や心筋梗塞になる可能性が3.3倍に上がります。180/100mmHg以上ではなんと8.5倍にもなります。
中にはこんなに高くても元気に過ごす方もいますが、だから血圧を下げなくていい、とは言えません。極端に言うと、リスクをとるか、安全をとるかになってしまいます。
私たち医療者は、リスクがあるのにも関わらず、未治療でいいとは言えないのです。
そのため、当診療所では、高血圧の方には、まずは原因(塩分摂取量、運動習慣、体重)などを確認の上、それらを改善してもなお高いとき、もしくはそれらが改善出来なければ内服加療を行っていきます。
他にもわからないことがあれば、随時質問頂ければと思います。
高血圧の薬を飲み始めたら、「一生飲み続けなければいけないのではないか?」という疑問に対しては、また別のページで解説したいと思います。